台湾を代表する観光スポットのひとつである九份。はじめて台湾に行くという人は必ず訪れたい場所ですが、実はアクセスがとても大変で、下調べなしで行くと大変な思いをすることになってしまいます。とはいえ、スタジオジブリの世界に迷い込むような感覚をぜひ楽しんでもらいたいところ。
そこでここでは、九分観光を楽しむために知っておいてもらいたい歴史や、抑えておくべき観光スポット、スマートなアクセス方法など、事前に把握しておくべき情報をまとめています。これから台湾旅行の計画を立てるという人は、楽しい思い出にするためにもぜひ参考にしてください。
九份の歴史と文化
台湾の観光地として大人気の「九份(きゅうふん)」。ノスタルジックな街並みと美しい夜景が特徴で、多くの日本人観光客が「必須スポット」としている場所のひとつです。そんな九份の歴史や文化を、わかりやすく解説します。
九份の名前の由来
九份(きゅうふん)という名前の由来は諸説ありますが、「開墾した土地の持分を9人で分けたもの」としている説が有力です、他にはこの小さな村には「九つの家」 があり、物を買うときにいつも「9つ分」と注文していたため「九份」と呼ばれるようになったとも言われています。
金鉱の発見により繁栄
九份が大きく発展するきっかけとなったのは 金鉱の発見です。金鉱が見つかったのは1890年代。そこから金の採掘が始まりましたが、それこそゴールドラッシュのように台湾中から人が集まり、焦点や娯楽施設も増えていき、九份の街はあっという間に活気づいていきます。
日本統治時代にはその最盛期を迎えますが、残念ながら第2次世界大戦後には金の採掘量が減り、九份の繁栄が終演を迎えます。賑やかさはなくなり、かつての静けさを取り戻していきます。
観光地としての復活
忘れられた街となっていた九份ですが、1989年、台湾映画「悲情城市」のロケ地として九份が使われました。この映画が大ヒットし、九份の美しい街並みが広く知られるようになります。さらには「千と千尋の神隠し」の舞台に似ているということで、多くの日本人観光客が訪れるようになりました。
今では九份は台湾を代表する観光スポットになっており、レトロな建物と赤い提灯が幻想的な雰囲気を作り出すなど、ここにしかない街並みや台湾グルメを楽しめる場所として、再び賑わいを取り戻しています。
九份の見どころ
九份は、台湾北部に位置する山あいのノスタルジックな観光地で、魅力的な見どころがたくさんあります。以下に、初めて訪れる方でも楽しめるように、九份の見どころをご紹介していきます。
阿妹茶樓
九份老街にある茶芸館(伝統的なお茶屋さん) です。日本の有名アニメ映画「千と千尋の神隠し」に登場する湯婆婆の湯屋に似ていることで話題になったスポット。おすすめは赤い提灯が灯る時間帯。日が沈み、空が暗くなると建物全体が幻想的な雰囲気に包まれます。
住所:台湾新北市瑞芳区崇文里市下巷20号
営業時間:8:30~翌2:30
定休日:なし
基山街
九份老街のメインストリートで、飲食店やお土産店が軒を連ねます。食べ歩きやお土産を買うのにおすすめのスポットです。タロイモ団子の「賴阿婆芋圓」や、豚肉入りちまき「阿蘭草仔粿」などの人気店で、ローカルフードを楽しみましょう。
豎崎路
九份で最も有名な階段ストリートで、無数の赤い提灯が吊るされ、昼間はレトロで活気ある雰囲気、夜は幻想的でロマンチックな景色になる人気の写真映えスポットでもあります。
九份茶坊
九份の人の多さに疲れたときに訪れてほしい伝統的な茶芸館です。台湾伝統のお茶文化を体験でき、落ち着いた雰囲気の中で台湾茶とお茶菓子を楽しめます。価格はちょっとお高めですが、予算をしっかり確保して、ゆっくり時間をかけてお茶を楽しむのがおすすめです。
住所:台湾新北市瑞芳区輕便路308号
営業時間:11:00~20:00
九份の夜景
九份は昼と夜ではまったく違った表情を見せてくれます。滞在時間の関係でどちらかしか見られないなら、おすすめは夜景を見ることができる夜です。夕暮れから夜にかけての景色は、この世のものとは思えない美しさで、いつまでも眺めていられます。
ただし、夜はかなり混雑します。できれば土日は避けて、平日に訪れるのがおすすめです。
九份へのアクセス方法
九份は台北から離れた場所に位置するため、なれていない人だとアクセス方法で悩むことになります。ここでは一般的な九份へのアクセス方法をご紹介します。
一般的な九份へのアクセス方法は4つあります。それぞれの所要時間や費用をまとめたものが下表になります。
手段 | 所要時間 | 費用 | おすすめポイント |
電車+バス | 約1~1.5時間 | 約100~150元 | お手頃価格でアクセスしやすい |
直通バス | 約1~1.5時間 | 約100元 | 乗り換え不要で初心者におすすめ |
タクシー・配車アプリ | 約45分~1時間 | 約1,200~1,500元 | グループ旅行や荷物が多い場合に便利 |
観光ツアー | 半日~1日 | ツアーによる | ガイド付きで効率よく観光できる |
それぞれのアクセス方法について、もう少し詳しく見ていきましょう。
車+バスで行く(公共交通機関利用)
電車とバスを組み合わせる方法は、比較的お手頃で観光客に人気です。
- 台北駅から瑞芳駅(ずいほうえき)へ
台北駅から台湾鉄道(台鉄)で 瑞芳駅 まで約40分~50分。
※普通列車や区間車(各駅停車)を利用するのがおすすめです。 - 瑞芳駅からバスで九份へ
瑞芳駅前のバス停から 「788」「827」 番などのバスに乗り、約15分で九份老街に到着します。
※運賃は現金払いまたは交通系ICカード(悠遊カード)が使えます。
直通バスで行く(台北市内から)
台北市内から九份への直通バスは、乗り換えがなくとても便利です。ただし、混雑することも多く座席に座れない可能性があります。1時間以上立ちっぱなしになってしまうのを避けるため、できるだけ早めにバス停に向かいましょう。
バス番号:「1062番」(金瓜石行き)
乗り場:台北MRT忠孝復興駅(そごう百貨店前)近くのバス停。
所要時間:約1時間15分~1時間45分で九份老街バス停に到着
料金:101元(悠遊カードまたは現金払い)
バス番号:「965番」(金瓜石行き)
乗り場:台北MRT西門駅の2番出口から約50mのところにあるバス停
所要時間:約1時間~1時間半で九份老街バス停に到着
料金:90元(悠遊カードまたは現金払い)
タクシーや配車アプリを使う
九份へのアクセス方法の中で最も効率よく時間を使える方法です。料金は高くなりますが、4人で割り勘すればそこまで高額にはなりません。このため、グループ旅行でおすすめの移動方法になります。
所要時間:台北市内から約45分~1時間。
料金:片道 1,200元~1,500元 程度(交渉次第で変動あり)。
配車アプリ:「Uber」や台湾の配車アプリ「55688」などが利用可能です。
ツアーバスや観光ツアーを利用
九份は観光客に人気のため、台北市内から出発する観光ツアーが豊富にあります。九份だけでなく十分や金瓜石などもまとめて巡ることもでき、しかもガイドが付いているの安心して観光できます。
現地の旅行会社で予約することもできますが、申し込みの時間を短縮するために、出国前にオンラインツアー予約サイト「KKday 」で予約するのがおすすめです。
九份のグルメ情報
九份は観光だけでなく、美味しいグルメも楽しめる人気スポットです。特に 九份老街には、食べ歩きにぴったりな台湾グルメがたくさんあります。ここではそんな、九份で絶対に味わいたいおすすめグルメをご紹介します。
芋圓(ユーユエン)
九份を代表するスイーツで、モチモチした食感が特徴のスイーツです。タロイモやさつまいも、かぼちゃなどの団子が入っています。冷たいものと温かいものがあり、かき氷やシロップと一緒に楽しめます。
おすすめ店:賴阿婆芋圓
魚丸湯(ユーワンタン)
魚のすり身を使った団子が入ったスープです。食感がプリプリしていて、スープはあっさりとした優しい味わい。小腹がすいたときにぴったりのローカルフードです。
おすすめ店:魚丸伯仔
草仔粿(ツァオアグォ)
ヨモギを使ったお餅のような食べ物です。モチモチした皮の中に、あんこや切り干し大根が入っています。ほどよいサイズなので食べ歩きにおすすめです。
おすすめ店:阿蘭草仔粿
スマートに九份観光するためのコツ
九份は混雑や坂道が多いため、効率よく楽しむためにはちょっとしたコツが必要です。スマートに九份観光を楽しむためのポイントをご紹介します。
混雑を避けるために「時間帯」を工夫する
九份は夕方から夜にかけて混雑しますが、それが九份の魅力でもあります。混雑を避けて午前中に来てしまうと、閑散としててその魅力の半分もわからないまま帰ることになります。多少は賑わいのある時間帯を意識して訪れましょう。
おすすめの時間帯
• 午後3時ごろに到着 → 夕暮れから夜景まで楽しむ
• 平日の観光がおすすめ(週末や祝日はかなり混雑)
混雑回避のポイント
• 九份老街は狭いので、早めに到着してゆっくり散策しましょう。
動きやすい服装&雨を想定しておく
九份は階段や坂道を何度も上り下りするので、動きやすい服装がベスト。ヒールの高いシューズではなく、スニーカーなど歩きやすい履物を選びましょう。
また、九份は高確率で雨が降ります。基本的にいつでも雨が降っていると考えてください。台北が快晴でも雨が降っていることもありますので、折りたたみ傘は必須。あとは濡れてもすぐに拭えるように、タオルや手拭いなどがあると安心です。
帰りのバスに乗れそうにないときの裏技
少しでも安く九份観光をしたい場合、台北市街地からバスで九份を目指すことになりますが、ここで問題になるのが、戻りのバスが満席で乗れないということです。このときタクシーを使うという方法もありますが、実は確実にバスに座れる裏技が2つあります。
- 九份老街のひとつ前のバス停「隔頂」まで歩く
- 基隆行きのバスに乗る
バスが混みだすのが九份老街バス停ですので、そのひとつ前のバス停まで歩けば混雑を避けることができます。ただし、この方法が広まってきたので、時間帯によっては「隔頂」も混む可能性があります。その場合には基隆行きのバス(バス番号:788)に乗りましょう。
ほとんどの人がこのバスを使わないので、座れる可能性がかなり上がります。もっとも基隆までそれほど時間がかかりませんので、立っていても大丈夫です。基隆からはバスもしくは電車で台北に戻れます。料金も時間もそれほど大きな差はありませんので、出発時間で選べばOK。
基隆にも大きな夜市がありますので、そちらを観光してから台北に戻るのもおすすめです。
九份は時間をかけてゆっくり楽しむのがおすすめ
週末の台湾旅行の場合、どうしても滞在時間が限られてしまうので、九份に行くとなるとスケジュールがかなりタイトになります。そうなると九份の本当の魅力を知らないまま帰国することになりかねません。九份をしっかり楽しみたいなら、九份をメインにした旅のスケジュールを立てましょう。
ランチを終えてから14時くらいに台北を出発し、日没後1時間くらいまで滞在するようなスケジュールがおすすめです。それくらいゆっくりしないと九份に魅力を感じられない可能性があります。到着後にぐるっと見て回り、お茶をしながら日が沈む時間を待つのがおすすめです。
夕方から夜にかけての風景を楽しんだら、あまり長居をせずに台北市街地に戻りましょう。九份は食べ歩きには適した街ですが、しっかり食事をするにはあまり適していません。早めに戻って台北市街地で食事をする時間を確保するようなスケジュールが理想です。
「ゆっくり過ごす」が九份の基本です。午前中に十分を観光して、そこから九份に向かうのもOK。いずれにしても慌ただしく通り過ぎるだけの観光にならないように注意してください。
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